弾けないなら、弾いてもらえばいい
キース・エマーソンのような超絶技巧のシンセソロに憧れても、実際に鍵盤の前に座ると手が動かない。そんな経験がある人は多いのではないでしょうか。楽器の練習に何年もかける代わりに、AIにアプリを作ってもらい、代わりにソロを弾き続けてもらうという発想は、テクノエッジで紹介された「無限にシンセソロを弾き続けるアプリ」の面白さそのものです。
この記事では、その発想を自分の手でも再現できるように、AIチャットツール(Claude)に指示を出しながらブラウザで動く「無限シンセソロ生成アプリ」を組み立てる手順をまとめます。プログラミング経験がゼロでも、コピー&ペーストと少しの試行錯誤で形にできます。
この記事でできるようになること
- ブラウザ上で音を鳴らし続ける簡易シンセアプリの土台を、AIとの対話だけで作れるようになります
- 「音階」「テンポ」「音色」といったパラメータをランダムに変化させ、それらしいソロを延々と生成する仕組みを理解できます
- 自分の副業・趣味用ツールとして、音楽ネタのWebアプリを公開する流れがつかめます
楽器の腕前ではなく、AIへの指示の出し方さえ身につければ、誰でも「弾き続けるアプリ」の作者になれます。
実装手順
ステップ1:作りたいものを一文で定義する
まず最初にやるべきことは、コードを書き始める前に「何を作りたいか」を一文で言語化することです。今回であれば「ブラウザを開くとシンセの音が自動でランダムに鳴り続け、止めるまでソロが終わらないアプリ」という程度で十分です。この段階を飛ばしていきなりAIに丸投げすると、的外れなコードが返ってきやすいので、正直ここは面倒でも省略しないほうがいいです。
ステップ2:Claudeへの指示(プロンプト)を設計する
次に、Claudeに対して具体的な仕様を伝えます。ポイントは「技術用語」ではなく「動作イメージ」を伝えることです。例えば以下のような指示が有効です。
- 「HTMLとJavaScriptだけで完結するWebページを作ってください」
- 「Web Audio APIを使って、シンセ風の音(矩形波やのこぎり波)をランダムな音程で連続再生してください」
- 「音の長さ・音程・音色をランダムに変化させて、無限にソロが続くようにしてください」
- 「再生/停止ボタンをつけてください」
このように分けて指示すると、Claudeが一度に返してくるコードの精度が上がります。最初から全部盛り込もうとすると、逆に修正が大変になるので、小分けにするのがコツです。
ステップ3:生成されたコードをブラウザで動かす
Claudeから返ってきたHTMLファイルをそのまま保存し、ブラウザで開くだけで動作確認ができます。特別な開発環境やインストール作業は不要です。この手軽さは、音楽制作アプリを試作する上でかなり大きな利点だと感じます。
音が鳴らない場合は、多くのブラウザで「ユーザー操作(クリックなど)がないと音声再生を許可しない」仕様になっていることが原因です。再生ボタンを押した瞬間に音声コンテキストを開始するようにClaudeに修正を依頼すると解決します。
ステップ4:ソロのランダム性を調整する
単に音程をランダムにするだけだと、聴いていて不自然な旋律になりがちです。ここは個人的に一番こだわりたくなるポイントです。改善案としては、
- 使用する音階を「ペンタトニックスケール」など特定の音階に限定する
- 音の長さのパターンをいくつか用意し、そこから抽選する
- 一定時間ごとに音色(波形の種類)を切り替える
といった条件をClaudeに追加で伝えると、より「それらしい」ソロに近づきます。音階の範囲を絞るだけで、ランダム生成の印象は驚くほど改善します。
ステップ5:公開して遊んでもらう
動作が安定したら、無料のホスティングサービスにHTMLファイルをアップロードするだけで公開できます。ドメイン取得やサーバー構築は不要で、静的ファイルをアップロードするタイプのサービスを使えば数分で公開が終わります。
ポイント:完璧な音楽アプリを目指す必要はありません。まずは「音が鳴り続ける」状態を作り、そこから少しずつパラメータを調整していくのが挫折しにくい進め方です。
つまずきやすいポイントと対処
最初に戸惑いやすいのは、Claudeが生成したコードをそのまま実行してもエラーが出るケースです。特にWeb Audio API周りは、ブラウザのバージョンや設定によって挙動が変わることがあります。エラーメッセージが出たら、そのメッセージをそのままClaudeに貼り付けて「このエラーを直してください」と伝えるだけで、多くの場合は解決します。自分でエラーの原因を調べようとせず、まずはAIに丸ごと渡してしまうのが結果的に早道です。
もう一つのつまずきポイントは、「音が単調で飽きる」という感想を自分自身が持ってしまうことです。無限に鳴らし続けるアプリだからこそ、テンポや音色に変化を持たせないと、数十秒で聴くのをやめたくなります。ここは仕様を詰める段階でしっかり時間を使う価値があります。
音量が予想以上に大きくなる場合があります。特にヘッドホンで動作確認をする際は、音量を絞った状態からテストすることをおすすめします。
まとめ
シンセを弾く技術がなくても、AIとの対話を通じて「弾き続けるアプリ」そのものを作ることはできます。今回紹介した手順は、①作りたいものを一文で定義する、②Claudeに小分けで指示を出す、③ブラウザで動作確認する、④ランダム性を調整する、⑤公開する、という流れです。どのステップも特別な専門知識を必要とせず、今日から試せる内容です。
遊び心のあるツールを自作する経験は、AIコーディングに慣れる練習としても実用的です。次は自分の好きな楽器やジャンルに寄せたアプリ作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
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