企画書や文章をAIに見せて「レビューして」と頼んだら、「良い視点ですね」「具体例を増やすとさらに良くなります」といった、当たり障りのないコメントしか返ってこなかった。そんな経験はないでしょうか。
AIにレビューを頼むと、いつも褒められて終わるんです。本当にこれで大丈夫なのか不安で…。
この記事の結論
AIに厳しく見てもらうには、「レビューして」ではなく、「この案を不採用にしたい審査員として、弱点を3つ以上、根拠つきで挙げて。褒めなくていい」のように、批判する役割・数・根拠を指定します。出てきた批判には別の立場で反論させ、最後は自分で採用する指摘を選びます。
この記事で分かること
- AIのレビューが甘くなる理由
- 敵対的レビューの5つの手順
- そのまま使えるプロンプト集(企画書・文章・コード・営業メール)
- 厳しい指摘を出させるコツと注意点
AIのレビューが甘くなる理由
対話型のAIは、相手の役に立とうとする性質があり、ときに相手に合わせすぎることがあります。この問題は英語で「sycophancy(迎合)」と呼ばれ、AIを作る会社も対策を続けています。
実際にOpenAIは2025年4月、ChatGPT(GPT-4o)の更新が「褒めすぎ・同意しすぎ」になっていたとして、その更新を取り消したと公式に発表しています。AIの設計そのものが、放っておくと利用者に好かれる答えに寄りやすいということです。
だからこそ、レビューを頼むときは「味方」ではなく「批判者」の役割をはっきり与えることが大切になります。
| 普通のレビュー | 敵対的レビュー | |
|---|---|---|
| AIの立場 | 協力者・アドバイザー | 反対者・審査員 |
| 出てくるもの | 改善案、良い点 | 弱点、矛盾、リスク、反論 |
| 向いている場面 | 書き始め、アイデア出し | 完成直前、提出前の最終確認 |

敵対的レビューの5つの手順
手順1:見てほしいものを渡す
企画書、文章、コード、営業メールなど、レビューしてほしいものをAIに貼り付けます。ここは普段と同じです。読む人(上司、クライアント、ユーザー)が誰かも一緒に伝えると、指摘が具体的になります。
手順2:役割を「批判者」に固定する
次に、プロンプトで役割をはっきり決めます。
あなたはこの企画の採用を阻止したい立場の審査員です。
この企画書の弱点、矛盾点、根拠が薄い部分を厳しく指摘してください。
褒める必要はありません。
ポイントは「褒めなくていい」と書くことです。これがないと、批判の途中でつい肯定的なコメントに戻ってしまうことがあります。
手順3:数と根拠を求める
「弱点を最低3つ」「それぞれ、なぜ問題なのか根拠を示して」と、数と根拠を指定します。数を決めると掘り下げが深くなり、根拠を求めると的外れな批判が減ります。
手順4:反論させて、往復させる
批判が出たら、今度は逆の立場で「その批判に対して、企画の担当者として反論して」と頼みます。批判と反論を往復させると、本当に弱い点と説明すれば済む点がはっきり分かれます。
手順5:最後は自分で決める
AIの批判には的外れなものも混ざります。「直す」「説明を足す」「無視する」に仕分けして、判断は自分で行いましょう。
そのまま使えるプロンプト集
企画書・提案書
あなたは予算を出す決裁者で、この提案を却下したいと考えています。
却下する理由を、重要な順に5つ挙げてください。
それぞれ「どの部分が」「なぜ問題か」「どんな情報があれば納得するか」を書いてください。
褒める必要はありません。
ブログ記事・文章
あなたはこの記事を途中で読むのをやめた読者です。
読むのをやめた理由を3つ、該当する箇所を引用して説明してください。
また、事実として疑わしい記述があれば指摘してください。
コード
あなたはこのコードを本番に出させたくない、厳しいレビュアーです。
バグ、エラー処理の漏れ、セキュリティ上の問題、読みにくい箇所を、
深刻な順に挙げてください。それぞれ再現条件か根拠を書いてください。
営業メール・商品説明
あなたはこのメールを受け取った、忙しくて疑い深い担当者です。
返信しない理由、信用できないと感じる表現を3つ以上挙げてください。
その後、どう直せば返信したくなるかも一言ずつ添えてください。
AIへの指示の出し方をもっと詳しく知りたい人は、AIへの「命令」を捨てて「重力場」を配置せよ。TODOソートで学ぶ文脈設計型プロンプトの技術も参考になります。
厳しい指摘が出てこないときのコツ
- 数を増やす:「最低3つ」で甘いなら「最低5つ」にする
- 立場を具体的にする:「審査員」より「予算を削りたい経理部長」のほうが、具体的な批判が出やすい
- 新しい会話で頼む:同じ会話で一緒に作ったものは、AIも肯定しがちです。作業した会話とは別に、新しい会話で見せましょう
- 別のAIにも見せる:ChatGPTで作ったものをClaudeやGeminiに見せると、違う視点の指摘が出ることがあります
敵対的レビューは、良い部分まで否定することがあります。批判はあくまで「検討材料」です。全部を直そうとせず、重要な指摘から順に直しましょう。

よくある質問
普通の「レビューして」と何が違いますか?
普通のレビューは改善案や良い点を引き出し、敵対的レビューは弱点や反論を引き出します。アイデアを広げたいときは普通のレビュー、提出前に穴をつぶしたいときは敵対的レビュー、と使い分けるのがおすすめです。
無料版のChatGPTでもできますか?
できます。特別な機能は使わず、プロンプトの書き方だけで実践できる方法です。長い資料を渡す場合は、有料プランのほうが一度に読み込める量が多くなります。
社内の資料をAIに見せても大丈夫ですか?
会社のルールを確認してください。多くのAIサービスには、入力内容を学習に使わない設定や、法人向けのプランがあります。機密情報は伏せ字にしてから渡すのも1つの方法です。
AIの批判が正しいかどうか、どう判断すればいいですか?
手順4のように、反論させて往復させるのが効果的です。反論でうまく説明できない指摘ほど、本当の弱点である可能性が高くなります。
まとめ
AIのレビューが甘いのは、AIが利用者に合わせやすい性質を持っているからです。役割を「批判者」に変え、数と根拠を求め、反論を往復させる敵対的レビューを使えば、資料や文章の弱点を具体的に洗い出せます。
まずは提出前の資料を1つ選んで、上のプロンプト集をそのまま試してみてください。
AIサブスクの月額がかさんできたら
複数のAIサービスを1つの契約にまとめて、コストを抑えながら使い倒す選択肢もあります。





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