「イメージは伝えたはずなのに」というすれ違い
ChatGPTやMidjourneyなどでイメージに近い参考画像をパッと作れるようになり、デザイナーへの依頼も楽になった……と思ったら、実際には「これ、どこからどう手を加えればいいんでしょうか?」と聞き返されてしまう。結局、口頭やチャットで細かく補足することになり、最初にAIで作った時間がむしろ二度手間に感じてしまう。この感覚、心当たりのある方は多いのではないでしょうか。
この記事では、AI生成物をデザイナーに渡す際に「引っかかりやすいポイント」を整理し、渡す前に一手間かけるだけで指示の伝わり方が変わる指示書の作り方を紹介します。
この記事でできるようになること
- AI参考画像がデザイナーに伝わりにくい理由を理解できる
- 渡す前に整理すべき情報の項目がわかる
- 実際に使える指示書のテンプレート的な組み立て方を手に入れられる
特別なツールを新しく契約する必要はありません。今使っているAIとチャット・ドキュメントツールだけで実践できます。
なぜデザイナーは「どこからどう」と戻してくるのか
まず前提として、AIが生成する画像は「完成見本」ではなく「雰囲気の断片」であることが多いです。配色の傾向、レイアウトのなんとなくの構成、質感の方向性は伝わりますが、以下のような情報がほぼ欠落しています。
- なぜその配色・構成にしたのか(意図)
- どの要素が必須で、どの要素が単なるAIの気まぐれか
- 実際の文字量・実データが入ったときにどう崩れてもいいか
- ブランドガイドラインや既存デザインとの整合性
デザイナーからすると、「素材」は見えても「意図」が見えない状態です。ここが最大の引っかかりポイントです。AI生成物は完成イメージではなく、あくまで意図を伝えるための「たたき台」だと捉え直すことが最初の一歩です。
手順1:AI生成物を「要素」に分解する
まずAIで作った参考画像を、そのまま渡すのではなく、自分の中で要素分解します。
- 配色(メインカラー・アクセントカラーはどこか)
- レイアウトの骨格(見出し・画像・ボタンの配置順)
- 雰囲気(かっちり/柔らかい/高級感など言葉で表現)
- 参考にしたい部分/参考にしなくていい部分
ここは正直、少し面倒に感じる作業です。ですが、この分解をやらずに画像だけ渡すと、後で聞かれることを先に自分で答えているだけなので、結局同じ時間がかかります。先に自分でやるか、後で聞かれて答えるかの違いだと考えると、取り組みやすくなるはずです。
手順2:目的とターゲットを一言で添える
次に、そのデザインが「誰のために」「何を達成するために」作られるのかを一文で添えます。例えば「初めて訪れるユーザーに安心感を与えるためのトップページ」といった具合です。
デザイナーは目的が分かると、AIの参考画像から外れた部分でも適切に判断して作業を進めてくれます。逆に目的が抜けていると、参考画像に忠実になりすぎたり、逸脱しすぎたりして、修正の往復が増えてしまいます。
手順3:指示書のフォーマットに落とし込む
分解した要素と目的を、簡単なフォーマットにまとめます。凝った資料は不要で、以下のような項目があれば十分です。
- 目的・ターゲット
- 参考画像(AI生成物)とリンク
- 参考にしたいポイント(配色/レイアウト/雰囲気など具体的に)
- 参考にしなくていいポイント
- 必須要素(ロゴ・ボタン・文言量など実データの制約)
- 既存デザインとの整合性(あれば既存サイトやガイドラインのリンク)
ポイント:「参考にしたい部分」と「参考にしなくていい部分」を分けて書くだけで、デザイナーの判断コストが大きく下がります。
手順4:AIに指示書のドラフトを作らせる
上記の項目を自分で一から文章化するのが手間なら、ChatGPTなどに「この参考画像の意図と、デザイナー向けの指示書を、目的・参考ポイント・必須要素の項目で整理して」と頼んでドラフトを作ってもらうのも一つの手です。個人的にはこのやり方が楽で、たたき台ができた後に自分の言葉で微調整するだけで済みます。
AIに指示書を作らせる際は、参考画像を作ったときのプロンプトや会話履歴もそのまま渡すと、意図がより正確に反映されやすくなります。
つまずきやすいポイントと対処
「言葉にできない雰囲気」をどう伝えるかという壁に必ず当たります。ここは最初は戸惑いやすいポイントです。対処法としては、既存の参考サイトやデザイン事例を2〜3つ添えて「AとBの間くらいの印象」と伝える方法が有効です。AI生成物単体よりも、複数の参照点があった方がデザイナーは方向性を掴みやすくなります。
また、指示書を作り込みすぎて逆にデザイナーの裁量を奪ってしまうケースもあります。指示は「制約」と「余白」のバランスが大切で、必須要素以外はある程度デザイナーの判断に委ねる姿勢も忘れないようにしましょう。すべてを固定するのではなく、判断してほしい部分は明確に「お任せします」と書くことも重要な指示です。
AI生成物の著作権・利用範囲については、使用したツールの利用規約を事前に確認しておくと、後々のトラブルを避けられます。
まとめ
AI生成物は便利な「たたき台」ですが、そのままではデザイナーに意図が伝わりにくいという性質があります。要素分解・目的の明記・指示書フォーマット化という3つのステップを踏むだけで、引き継ぎ時の往復回数はかなり減らせるはずです。渡す前のひと手間が、結果的に一番の時短になります。まずは次の依頼から、参考画像に一言「参考にしたい部分」を添えるところから試してみてください。



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