「マネーの公理」レビュー|損切りできなかった自分が、ルールで感情を切り離せるようになった話

「マネーの公理」 お金・投資

含み損を抱えた銘柄の画面を、見ないふりして1ヶ月放置したことがある。

「そのうち戻るはず」「今売ったら損が確定してしまう」。頭では分かっているのに、損切りのボタンがどうしても押せない。気づけば含み損はさらに膨らみ、夜になるとスマホの証券アプリを開いては閉じるを繰り返す日々でした。

そんな時に投資仲間から勧められたのが「マネーの公理」というタイトル。「スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール」という副題に惹かれて、半信半疑でページを開きました。

感情で投資する人間への処方箋

著者のマックス・ギュンターは、かつてスイスの銀行業界に身を置いていた人物。この本は「チューリッヒの公理」と呼ばれる、スイスの投資家たちが実践してきた12の法則をまとめたものです。

読んで最初に驚いたのは、一般的な投資本と真逆のことを言っている点でした。「分散投資はほどほどに」「期待は捨てろ」「損切りは早く」——耳障りのいい話ではなく、人間の感情の弱さを前提にしたルールが並んでいます。

本の核心:印象に残った公理

12の公理の中でも、特に自分の投資判断を変えたものを紹介します。

① リスクの公理

「心配になるほどの金額を賭けよ」というもの。少額すぎる投資では真剣に考えなくなり、結局は雑な判断をしてしまう。適度な緊張感がある金額で投資することで、初めて本気でリスクと向き合えると気づかされました。

② 欲の公理

「利食いは早すぎるほどよい」という考え方。含み益が出た時、もっと伸びるはずだと欲張って持ち続け、結局は下落して利益を失う——これを何度も繰り返していた自分には耳が痛い指摘でした。

③ 希望の公理

「船が沈み始めたら祈るな、飛び込め」。含み損が拡大しているのに「そのうち戻る」と祈るように保有し続けるのは、根拠のない希望的観測にすぎない。数字だけを見て機械的に判断すべきだと説かれています。

④ 予測不能の公理

「パターンを見出したと思っても、それは幻想かもしれない」。チャートに規則性を見出して確信を持った時ほど危ない、という指摘。自分の分析力を過信していたことに気づかされました。

読んでから変わったこと

まず、損切りのルールを機械的に決めました。「購入価格から8%下落したら理由を問わず売る」というシンプルな基準を作り、感情ではなく数字で判断するようにした。最初の1回は手が震えましたが、2回目以降は「ルールだから」と淡々と実行できるようになりました。

次に、含み益が出た銘柄を「もっと伸びるはず」と欲張って持ち続けるのをやめました。目標株価に達したら機械的に一部利確する、というルールに変えた結果、以前より小さな利益を積み重ねられるようになりました。

そして何より、投資判断を「祈り」ではなく「数字」でするようになりました。含み損の銘柄を見て「そのうち戻る」と思った瞬間、それが希望的観測だと自分で気づけるようになったのは、この本のおかげです。

こんな人に読んでほしい

  • 含み損を抱えると身動きが取れなくなる人
  • 損切りのタイミングがいつも遅れる人
  • 投資判断が感情に左右されがちな人
  • 分散投資が正解だと思い込んでいる人
  • 投資の「守り方」を体系的に学びたい人

投資テクニックの本ではなく、投資家としての「思考のルール」を教えてくれる一冊です。気になった方はこちら↓

マネーの公理

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読み終えて

投資の本というと、銘柄選びやチャート分析のテクニックを期待してしまいますが、この本が教えてくれるのはもっと根本的な「感情との付き合い方」でした。

結局、多くの投資の失敗は分析力の不足ではなく、感情に流されたことが原因だったと今は思います。ルールを先に決め、それに機械的に従う——シンプルですが、これができるかどうかで結果が大きく変わることを実感しました。

含み損を抱えて動けなくなった経験がある人ほど、刺さる一冊だと思います。

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